幼なじみとの再会と金蹴り
金蹴りの思い出
金蹴りとは読んで字のごとく、金玉蹴りだ。
私は幼稚園の頃からの、所謂異性の幼なじみが居て、無闇矢鱈に喧嘩を繰り返し、奴に金蹴りをよく行っていた。
今考えると恐ろしい限りだが、そんな事は知らない幼い私は、よく金玉を蹴っていた。
奴は奴で私をぶん殴ったりして来ていたので、お互い様だと思っていた。
両親の離婚で、引っ越してからは全く会っておらず、携帯電話を中学生がほいほい持っているような世代でも無いので、連絡を取り合う事も出来なかった。
そんな中、性的な知識を身につけた私はずっと思い悩んでいた。
「幼なじみの睾丸は無事か?」という事だ。
彼にもし子供が出来なかったら、金玉を蹴りまくってた私の責任もあるのでは無いか?いや、睾丸がどうにかなったとは当時聞いた事が無いから大丈夫だろうが、ネットには強い衝撃で無精子症になったりするなんて書いてある。
子供の頃から体格が良かったから、あの金玉蹴りは強い衝撃に分類出来ると思う。
しかし、私は奴と連絡を取りようが無い。
幼なじみとの再会
あっけなく再会を果たした、本日。
開口一番「うおー!久しぶり!!!ねえ、子供出来る体?私、子供の頃さ、あんたの金玉蹴りまくってたでしょ、ずっと心配だったんだよね」と言った。
奴は「子供?20才の時にさー出来ちゃってさー、けど、今は離婚したから子供は元嫁と大阪に居るんだわ」と答えた。
私「そ、そりゃ、まあ、よ、良かった……?良かったってのもおかしいけど、子供が出来るなら、私の金玉蹴りは全く問題無かったね、良かったよ!」
奴「よくねえよ、すげえ痛いんだから、今でも思いだしたら、金玉キュッってなるわ」
私「なら、今、私の子宮辺りを思う存分、蹴れば良いじゃない」
奴「ン十年も他人の精子が出来るかどうか心配して、ン十年振りに会って、いきなり精子出来るか確認して、逆ギレ気味に子宮蹴れば良いって、お前、大丈夫なの?」
私「大丈夫じゃないよ、私がおかしいの、知ってるでしょ……」
奴「中二病卒業しろよ」
私「中二病じゃないよ……」
奴「まあ、元気そうでよかったよ、いきなり引っ越しして、転校だったしさ、心配は一応してた。今日は会えて良かったわ」
私「あ、そうなんだ、ありがとう……」
奴「周りも心配してた」
私「あ、ありがとう。誰かに心配なんてして貰ったの数年ぶりだよ嬉しい」
奴「なんでそういう、キモい事一々言うの」
私「……十年以上会ってないのになんでそんな怖いの」
奴「いや、なんか、中学位に戻った気になるわー」
私「う、うん、私も、こんなに思いついたまま話せるの久しぶり」
奴「そりゃ、良かった?……ね?」
私「うん」
奴「なんかさ、お前大丈夫なの?結婚とか彼氏以前に好きな人居るの?大丈夫なの」
私「恥ずかしいけど、ちょっと前迄ニートだったから、今は自分の事で精一杯」
奴「まじかよ、お前、ニートって……自分の事で精一杯の方向性が酷すぎて……」
私「自分でも分かってるから、頑張るって決めたんだもん」
奴「マジか~、そうか~、まあ、なんか、あれだ、お前、変だし元ニートだし、ちょっと友達とかには紹介したくないけど、また2人で飲みに行こうや、話そうや」
私「……別に友達紹介してとも言って無いのに、なんでそんな事言われるのか分かんない。酷すぎる、辛い、でも飲みに行きたい。けど、お金無い、財布は3千円しか無い。だから、給料貰えるまで待ってくれるなら行きたい」
奴「いいよ、おごるよ。なんか、おごりたいわ」
私「う、うん、給料入ったら私が奢るね」
奴「元ニートは他に使った方が良いと思う」
私「うん、けど、彼女とかいないの?大丈夫なの?」
奴「大丈夫。お前の写真見たらヤキモチもクソも無いだろうから、写真撮って良い?」
私「……うん……」
とりあえず、精子は出来る体で、近日、奴の奢りで飲みに行きます。